氏名 | 役職 | 専門医など |
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柴崎 早枝子 (しばさき さえこ) | 部長 | ・日本内科学会総合内科専門医 ・日本内科学会指導医 ・日本糖尿病学会専門医 ・日本糖尿病学会研修指導医 ・小児慢性特定疾病指定医 |
高本 晋吾 (たかもと しんご) | 部長 | ・日本内科学会総合内科専門医 ・日本内科学会指導医 ・日本内分泌学会内分泌代謝科専門医 ・日本医師会認定産業医 |
浦上 奈歩 (うらかみ なほ) | 医員 | |
八幡 直樹 (やはた なおき) | 医員 | |
世良 佳奈子 (せら かなこ) | 医員 |
2022年4月1日より、新たに「糖尿病・内分泌内科」として、糖尿病を中心に、甲状腺、下垂体、副腎、副甲状腺・カルシウム代謝異常、電解質異常などの内分泌代謝疾患全般を対象に診療しています。また日本糖尿病学会、日本内分泌学会の認定教育施設として、診療内容の充実と将来を担う若手医師の育成にも力を入れています。特に糖尿病に関しては、2022年7月より認定教育施設Ⅰ (自施設で研修カリキュラムチェックリスト要件をすべて網羅出来る施設) を取得しております。
あらゆる分野の糖尿病の診断・治療が可能ですが、当科が特に力を入れているのは、以下の3分野です。
① 血糖コントロール不良2型糖尿病の集約的治療
②最新機器を用いた1型糖尿病の緻密な血糖コントロール
③ 妊娠糖尿病・糖尿病合併妊娠の厳格な血糖コントロール
経口血糖降下剤を3種類以上内服してもHbA1c ≧ 8%が継続する肥満を合併した糖尿病患者様、高血糖症状 (体重減少、口渇、多飲、多尿) を契機に、あるいは血液検査で高血糖を指摘され、初めて糖尿病と診断された患者様、著明な高血糖に脱水やケトーシスを合併した患者様、悪性腫瘍などの他疾患を合併し血糖コントロールが悪化した患者様、術前血糖コントロールが必要な患者様、やせ型体形でその血糖コントロールにインスリン注射が必要な患者様、認知機能が低下し食事療法が困難な超高齢の糖尿病患者様、いずれも大変治療が難しい糖尿病患者様です。このような方々が日々、地域の開業医の先生方のご紹介により当科を受診されておられます。
当科では、患者様の糖尿病の病態のみならず、高血糖症状・全身状態・合併症や併存疾患・生活環境・日常生活動作 (ADL)・生活の質 (QOL)を加味して、お一人お一人に最適な糖尿病治療をご提案致します。
糖尿病外来の初診は月~金まで随時受付 (午前診が基本、午後の時間帯はお電話相談可)、血糖コントロール入院も随時受け付けております。糖尿病教育入院は、血糖コントロールと合併症精査・併存疾患検索・癌検査込みで2週間が基本です (月曜日始まりの2週間が基本で、日程・期間は相談可)。当院の医療相談・連携室を通じて糖尿病外来の予約をお取り下さい。事前に紹介状に目を通し、予め検査や治療の予定を立てた上で、糖尿病専門医が初診対応致します。(紹介状のみ持参されての当日受付に関しては、その限りではありません)。
当科ではインスリン注射は、「外来インスリン導入」が標準治療となっております。当科の「糖尿病チーム医療」を支える医師(糖尿病専門医)、看護師、薬剤師、管理栄養士、検査技師 (糖尿病療養指導士の資格取得者6名在籍)及び糖尿病担当の医療事務職員全員で、外来インスリン導入 (基礎インスリン補充, Basal-Plus, Basal-Bolus療法すべて可能)、血糖測定導入 (SMBG, isCGMいずれも可能)、栄養指導を実施します。熟練のスタッフが指導しますので、インスリン注射+血糖測定の指導なら1.5~2時間で、栄養指導を含めても3時間ですべての指導を受けることができます。血糖コントロール不良の糖尿病患者様におかれましては、経口血糖降下剤の内服加療から、インスリン注射による糖尿病治療へのstep upが必要ですが、仕事、家事、育児や介護を理由に「入院ができない」患者様はたくさんいらっしゃいます。そのような方に、是非、当院の外来インスリン導入のシステムをご活用頂きたいと思います。(basal-bolus療法, isCGMに関しては 2.最新機器を用いた1型糖尿病の緻密な血糖コントロール の項目をご参照ください。isCGMは2型糖尿病患者様でも1日1回以上のインスリン注射を実施していることを条件に保険適応があります)。
また、インスリン製剤に加えてGLP-1受容体作動薬も外来での導入が可能ですのでご相談下さい。
ただし、次のような患者様は入院してのインスリン導入、血糖コントロール入院と致します。 ・1型糖尿病が疑われる場合 (少しでも1型の可能性があるならば入院が基本) ・全身状態不良、発熱、脱水傾向、摂食不良、他疾患合併、ステロイド投与中(インスリン注射に加えて補液や抗生剤投与が必要、悪化する可能性) ・認知機能低下、精神疾患合併、アルコールの関与 (インスリン注射の実施に不安、インスリン抵抗性の影響) ・高齢者 (≧ 70歳) (予備力の低下、悪化する可能性) ・インスリン注射や血糖測定の遵守に不安がある場合 このような患者様は合併症・併存疾患も多いため、他科と連携して集約的に治療に当たります。できる限り患者様のご希望には沿いますが、すべての患者様で外来インスリン導入が可能ではありませんので予めご承知おきください。 糖尿病に関しては、様々なご要望に応じられる知識と技術と経験と人員が当科にはあります。北河内地区ひらかたエリアのより良い糖尿病治療のために、今後もスタッフ一同頑張ってまいりたいと思います。
当科は1型糖尿病の診断、治療に力を入れております。具体的には、1日4回のインスリン頻回注射療法であるbasal-bolus療法+間歇スキャン式24時間連続血糖測定 (intermittently scanned continuous glucose monitoring, isCGM, FreeStyleリブレ®, Abbot社) を基本とします。FreeStyleリブレ®によるisCGMによって得られた血糖トレンドをAmbulatory Glucose Plofile (AGP)という解析方法で読み解きながら、緻密な血糖コントロールを目指します。現在当院には60名の1型糖尿病患者様が通院中で、ほぼ全員がリブレを使用されております。また、当院では2021年5月よりFreeStyle リブレ®から得られた血糖値関連データをクラウドベースで管理するシステム「Libre view」を導入しました。1型糖尿病患者様は上腕にリブレセンサーを装着し、リブレセンサーから得られたセンサーグルコース値を専用の読み取り機であるリブレリーダーで、もしくは個人所有のスマートフォンで読み取ります。リブレリーダーやスマートフォンで読み取った血糖関連データは、クラウドシステム「Libre view」を介して医療機関と共有され、日々の診療に役立てられます。
AGPレポートを基にインスリン注射や内服薬を調整し、患者様お一人お一人に最適な治療をご提供します。低血糖に十分注意しながらもより良い血糖コントロールを追求致します。生活スタイルに応じてインスリン投与量などを個別にアドバイスし、緻密な血糖コントロールを目指します。 基本的なbasal-bolus療法+isCGMのみならず、basal-bolus療法へのSGLT-2阻害剤の上乗せ、カーボカウント、リアルタイムCGM (rtCGM), AGPの詳細な評価方法 (meanSG値, eHbA1c, TIR, TBR, TAR), ultra-rapid insulin製剤の使用が可能です。重症低血糖の既往がある患者様のご家族には点鼻グルカゴン製剤の情報提供と処方を致します。また、補正インスリン、責任インスリン、残存インスリン、目標血糖値、インスリン効果値、インスリン/カーボ比を評価し、患者様に丁寧にご説明致します。最適な治療法を選択し、より良い血糖コントロールを目指しながらも低血糖は常に意識します。FreeStyle リブレ®を活用して無症候性低血糖、夜間低血糖も見逃さないよう治療します。 当院ではインスリンポンプはMedtronic社 (ミニメド™770G®) およびTermo社 (MEDISAFE WITH®)いずれも自施設での導入が可能です。CSII (Continuous Subcutaneous Insulin Infusion)は勿論、SAP (Sensor Augmented Pump) , HCL (Hybrid Closed Loop) 療法までstep upが可能です。インスリンポンプ治療は1型糖尿病患者様にとって、basal-bolus療法と同様に、場合によってはそれ以上に有効な治療法です。インスリンポンプに関しては、毎週水曜日午前に「インスリンポンプ専門外来」を完全予約制で実施しております。インスリンポンプに関しても当科では外来導入が標準治療です。
ただし、安全にインスリンポンプを外来導入するためには、当科の「インスリンポンプ外来導入のための工程表 (ポンプチェックシート)」に従い通院し、レクチャーやトレーニングを受けていただくことが条件です。具体的には、ポンプ導入前に2時間程度のインスリンポンプレクチャー、デモ機によるポンプトレーニング及びカーボカウント履修を経て、外来インスリンポンプ導入 (導入週に2~3回集中して通院、初回は2~3時間、2回目以降は30分~1時間、導入月はCSII+isCGMでポンプ操作を習得) となります。その後は、患者様のご様子を見ながらSAP, HCL療法へとstep upしていきますが、そのペースは患者様のご希望に沿って進めます。必ずしもSAP, HCL療法までstep upしなければいけないわけではありません。当方は医療的なアドバイスは致しますが、患者様のご希望を最大限に尊重いたします。 外来でのポンプ導入にご不安な方は入院しての導入が可能ですのでご相談ください。ただし、入院してインスリンポンプを導入し、退院後に生活パターンが変化することで、細かく設定した基礎レートを大幅に変更せざるを得ない患者様もいらっしゃいます。外来でポンプを導入しますと、日常生活を変えることなく精密なインスリン基礎レート設定も最初から正確に調整でき、後々大幅な設定変更が必要とならず、外来ポンプ導入の利点の1つと考えます。 もう1点、外来インスリンポンプ導入を可能にする条件として、個人所有のスマートフォンでリブレセンサーのセンサーグルコース値を読み取れる、スマートフォンアプリ「FreeStyleリブレ LINK」をご利用されている方に限ります。ポンプ導入して帰宅後の患者様の血糖の推移を、担当医師がリアルタイムで把握するためです。「FreeStyleリブレ LINK」の使用に関しては、当院の検査技師が個別指導で対応します。当科通院中のリブレ使用中の患者様で「FreeStyleリブレ LINK」対応機種のスマートフォンをお持ちの方は、ほぼ全員、このアプリをご利用なさっておられます。初期設定さえ済ませれば、後は何も難しくありません。 また、インスリンポンプに閉塞トラブルはつきものですが、自力できちんとインスリン充填およびカニューレ交換ができるまで何度でも個人指導を行います。閉塞するには必ず理由があります。その理由を理解し、回避できるようトレーニング致します。そしてポンプ閉塞時の対応に関しては、最重要ポイントですので、当科オリジナルの詳細なトラブルシューティングマニュアルに従い、ご理解いただけるまで徹底的に指導します。 このように、導入前の入念なポンプトレーニング・ポンプ導入チェックシートに従って患者様のペースに沿って指導・万全のトラブルシューティング対策、そして糖尿病チーム医療システムを整えての外来インスリンポンプ導入です。インスリンポンプの進化は日進月歩です。若年の1型糖尿病の患者様、中~壮年のbasal-bolus療法では血糖コントロール不良の1型糖尿病患者様、妊娠出産を視野に入れておられる女性1型糖尿病患者様には、是非、インスリンポンプ療法を選択肢の1つとしてお考え頂きたいと思います。小児期発症の1型糖尿病患者様で、小児科からのトランジションをご検討中の方は、一度当科を見学に来ませんか? 実際の診察場を見て頂いてからトランジションするかどうか決めて下さって構いません。1型糖尿病患者様にとって、人生の決して短くない時間を過ごすことになる病院ですので、ゆっくりご検討下さい。 1型糖尿病の皆様は、その疾患の希少性故、通院先選びにご苦労なさることがあると思いますが、どうぞ安心してご通院頂きますよう宜しくお願い申し上げます。
近年の晩婚化、出産年齢の上昇に伴い妊娠糖糖尿病・糖尿病合併妊娠の患者様は増加傾向です。 妊娠糖尿病・糖尿病合併妊娠に関しては、当科は2014年4月より積極的に活動しており、地域の医療機関様からも大変多くご紹介をいただいています。2014年に糖尿病・内分泌内科と産婦人科で第1回合同カンファレンスを開催したのを皮切りに、現在も定期的に勉強会を開催し、両科で情報共有をしております。 2019年11月より、当院産婦人科に通院する妊婦様は、全例、妊娠中期に50gグルコースチャレンジテストを実施し、負荷1時間後の血糖値≧140 mg/dLの妊婦様は、すぐに糖尿病内科を受診して頂くシステムを構築しました(妊娠初期の随時血糖≧100 mg/dLも同様に当科ご紹介となります)。その後、75gブドウ糖負荷テストを経て最終診断となりますが、その結果、妊娠糖尿病・糖尿病合併妊娠は40~50症例/年へと増加しております。妊婦特有の大きな血糖変動、ケトーシスに傾きやすい代謝状況、特有の血糖管理基準とその評価方法、妊婦に使用可能なインスリン製剤の適切な選択とその使い方、SMBGとisCGMを駆使した厳格な血糖管理、妊娠週数に応じた細かな栄養指導 (月1回の栄養指導を出産直前まで継続)、分割食の指導、周産期の血糖・血圧・体重管理と可能な限り正常耐糖能を目指して厳格に管理し、妊婦様にはその必要性をわかりやすく指導します。そして診察毎に産婦人科の診療記録を確認し、母体と胎児の全体像の把握に努めます。産後の耐糖能評価、授乳期の血糖管理も行います。ご希望の妊婦様には、1週間程度の「妊娠糖尿病教育入院」を実施しております。
当院では、年1~2例のペースで1型糖尿病合併妊娠の症例も経験しております。当院にはNICUがありませんが妊娠週数36週以降の出産なら、1型糖尿病合併妊婦でも出産可能です。周術期を含めた血糖管理は産婦人科と共観で当科が担当します。 また、当院は助産制度の指定病院であるため、周産期ハイリスク妊娠(若年妊娠、低収入、低 学歴、未婚、妊娠葛藤、家庭内暴力、被虐待、精神疾患合併、不規則な食事による肥満・痩せ、喫煙・飲酒、不定期通院、飛び込み受診、外国人) に耐糖能異常を合併した妊婦が相当数来院されます。これら複雑な生活環境をもつ妊婦に対しては、糖尿病内科医、産婦人科医、精神科医、保健師、助産師、医療ソーシャルワーカー (MSW)らが「周産期ハイリスク妊婦会議」を定期的に開催し、必要あれば児童相談所とも情報共有して、出産までチーム医療でサポートする体制を取っております。 挙児希望の糖尿病女性、2型糖尿病合併 (肥満、インスリン抵抗性合併) 不妊症に対するプレコンセプションケア(妊娠前の血糖コントロール)にもしっかり対応します。2022年4月より不妊治療に公的医療保険が適応されるようになり、妊婦の高齢化も相まって対象患者様が増加しております。食事・運動療法を前提とし、MiG (N Engl J Med.2008 May 8;358(19):2003-15.)の結果に基づき、プレコンセプションケアにメトホルミンの使用を考慮する患者様もいらっしゃいます。(当科で作成した説明書に従って説明し同意が得られた場合のみ使用)。ただし不妊治療で妊娠が判明したら、全例ですぐにインスリン治療に切り替えます。
甲状腺機能異常、自己免疫性甲状腺疾患(バセドウ病や橋本病)の患者様には、必要な検査を選択して診断を確定し、疾患と治療法に関する説明を十分に行い、適切な治療を行います。放射性同位元素による内照射療法など、さらに高度な治療を要する場合には、甲状腺疾患専門病院との連携を行い、迅速に患者様を紹介できるように努めています。近年、検診などで甲状腺の結節性病変が見つかる頻度が増加しています。超音波やCT、必要に応じて各種シンチグラムなど画像診断とエコーガイド下の穿刺吸引細胞診で腫瘍の良性悪性を診断し、治療方針、手術適応を決定します。
・入院患者数
当該期間中の糖尿病内科・内分泌内科の入院患者総数 847人 / 年 (約 70人 / 月)
※1、2型糖尿病、妊娠糖尿病に対する教育入院、血糖コントロール入院、高血糖緊急症(高血糖による脱水、ケトーシス及びケトアシドーシス)、低血糖昏睡、悪性腫瘍、感染症など他疾患を合併した糖尿病、術前血糖コントロール入院など血糖関連の入院、及び一般内科の入院すべてを含む。
・外来定期通院患者数(予約診療)
糖尿病・内分泌内科 年間総数 10,046名 / 年、(約840 人 / 月) ・インスリン製剤の自己注射 年間総数 2,305 名 / 年 ・週1回GLP-1受容体作動薬の自己注射 年間総数 744名 / 年 ・インスリンポンプ治療 年間総数 33名 / 年
糖尿病は増加の一途を辿っていますが、画期的な新薬が次々と導入され、治療の選択肢が広がっています。先生方も数多くの患者様を診察され、治療に難渋する症例も少なくないと思います。食事療法(栄養指導)を中心とした初期治療と自己管理の教育、合併症の評価と治療、インスリン自己注射と血糖自己測定の導入など、ご要望に応じて短期間の入院で方針を決定し、退院後はご紹介いただいた先生の外来に戻っていただきます。糖尿病療養指導士がチームで指導する充実した内容の糖尿病教育入院を毎月、定期的に実施しています。また、医療相談・連携室を通じて個別栄養指導も受付けておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。
・糖尿病・内分泌内科・・・・・・・・・・月~金曜日午前診 (随時受付、但し医療相談・連携室を通じてご予約頂けますと糖尿病専門医が初診対応します。出来る限り事前のご予約をお願い致します。午後はお電話相談可) ・インスリンポンプ専門外来・・・・・・・水曜日午前(完全予約制、柴崎) ・妊娠糖尿病・糖尿病合併妊娠専門外来・・月・火・木曜日午前診 (柴崎)
個別栄養指導……随時実施(予約制、InBodyによる体組成測定込み)
フットケア外来…随時実施 (予約制)