枚方市長 中司 宏 殿
平成15年3月24日
医療事故等防止監察委員協議会
近年、医療事故が各地の医療機関で数多く発生し、マスコミにも大きく取り上げられ、社会問題化しています。
昨今の医療の進歩に伴う医療分野の細分化と各領域の専門化は、新しい医療サービスの提供を可能にする一方で、新たなリスクも生み出しています。即ち、チーム医療への移行等により、医療事故の防止が個々の医療従事者の努力の限界を超え、組織的な防止対策の必要性が強く求められています。
枚方市民病院は、平成12年に発覚した一連の不祥事件により、市民の信頼を失ったまま2年余りを経た現在においても、未だその信頼を回復していない状況が続いており、病院財政の悪化にも大きな影響を及ぼしています。
市民が、公的病院としての市民病院に望むことは、何よりも安心できる医療の提供です。市民からの信頼回復のためには、高度な医療サービスもさることながら職員の意識改革、患者本位の親切・丁寧なサービスの提供やインフオームドコンセントの徹底、そして医療情報・経営情報の積極的な公開などガラス張りの運営を病院全体として取り組んでいく必要があると考えます。
今回の医療事故防止のための提言については、病院から提供された各資料に基づく質疑を中心に改善又は実施を求める事項を提言するものです。
当院のリスクマネージャーは,各所属部署から選出されているが、全員、日常業務を兼務しているのが現状である。
本来、リスクマネージャーとは、日常業務と兼務できるような軽易な職務ではなく、事故防止のための相応の権限を持った重要な職務であることから、専任のリスクマネージャーの設置を要望する。
万一、不幸にも、医療事故が起きてしまった場合、速やかに病院長に報告し、担当医療従事者以外の者によるカルテ保存と本人・家族に対するカルテコピーの提供など、カルテ等の証拠保全のためのマニュアルを作成し、カルテの改ざん防止の姿勢を病院側から積極的に示されるよう要望する。
本人・遺族からのカルテ開示請求に対しては、原則開示をされたい。
当院のカルテ開示ガイドラインには、「開示しないケース」が例記されているが、本人・遺族には請求があれば開示し、信頼回復と情報公開の徹底のため「開示しないケースがある」ことを削除されるよう要望する。
医療事故の防止や医療の質の向上、患者サービスの向上のため、電子カルテシステムを中心とした情報共有化は、今や常識となってきており、医療事故防止のキーポイントであることから、電子カルテやオーダリングシステムを含めたインフラを早期に整備されるよう要望する。
枚方市民病院は、医薬分業がほとんど進んでいないのが現状である。
外来患者に対する院外処方の促進は、薬剤師が病棟業務に従事する時間ができることになり、与薬による医療事故の防止と医療の質の確保のためにも必要なことであり、その促進を要望する。
与薬事故防止のため、注射薬の処方箋にカルテを添付し、薬剤師のチエック機能が働くよう検討されることを要望する。
開かれた風通しのよい医療現場、民主的な人間関係の構築のため、幅広く大学・医療機関から医師を招へいし、人事交流を促進されたい。