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医師・スタッフの紹介

常勤

氏名役職専門医等

柴崎 早枝子
(しばさき さえこ)
主任部長 兼
糖尿病センター長
・日本内科学会総合内科専門医
・日本内科学会指導医
・日本糖尿病学会専門医
・日本糖尿病学会研修指導医
・日本糖病学会近畿支部評議員
・大阪医科薬科大学内科学Ⅰ臨床教授
・小児慢性特定疾病指定医
・日本糖尿病・妊娠学会正会員
・医学博士
高本 晋吾
(たかもと しんご)
部長・日本内科学会総合内科専門医・指導医
・日本内分泌学会認定内分泌代謝科専門医・指導医
・日本医師会認定産業医
・枚方市役所健康管理医
浦上 奈歩
(うらかみ なほ)
医員 
太口 瑞穂
(たぐち みずほ)
医員 
小山 和也
(こやま かずや)
医員 

非常勤

氏名 役職 専門医等
堤 千春
(つつみ ちはる)
非常勤医員 ・日本内科学会総合内科専門医
・日本糖尿病学会専門医・研修指導医
坂根 貞樹
(さかね さだき)
非常勤医員 ・日本内分泌学会専門医・指導医
・日本甲状腺学会専門医

診療科の紹介

2022年4月1日より「糖尿病・内分泌内科」として、糖尿病を中心に、甲状腺、下垂体、副腎、副甲状腺・カルシウム代謝異常、電解質異常、肥満症などの内分泌代謝疾患全般を対象に診療しています。また日本糖尿病学会、日本内分泌学会の認定教育施設として、診療内容の充実と将来を担う若手医師の育成にも力を入れています。特に糖尿病に関しては、2022年7月より日本糖尿病学会の認定教育施設Ⅰを取得しております。
2024年1月オープンの糖尿病センターについては下記リンクをご参照ください。

関連リンク

糖尿病

あらゆる分野の糖尿病の診断・治療が可能ですが、当科が特に力を入れているのは、以下の3分野です。

① 血糖コントロール不良2型糖尿病の集約的治療
② 最新IT機器を用いた1型糖尿病の緻密な血糖コントロール
③ 妊娠糖尿病・糖尿病合併妊娠の厳格な血糖コントロール
1.血糖コントロール不良2型糖尿病の集約的治療

 経口血糖降下剤を3種類以上内服してもHbA1c ≧ 8.0 %が継続する肥満を合併した糖尿病、高血糖症状 (体重減少、口渇、多飲、多尿) を伴い全身状態が悪化した糖尿病、非ケトン性高浸透圧性昏睡、糖尿病性ケトアシドーシス、悪性腫瘍, ステロイド投与, 細菌感染症や糖尿病性大血管障害などを合併し血糖コントロールが悪化した糖尿病、厳格な術前血糖コントロールが必要な糖尿病、頻回インスリン注射が必要な糖尿病、認知機能が低下し食事療法が困難な超高齢の糖尿病、精神疾患を合併した糖尿病、いずれも大変治療が難しい糖尿病です。このような方々が日々、実地医家の先生のご紹介で当科を受診されます。入院にて糖尿病の急性期治療を行います。
 当科では、糖尿病の病態のみならず、高血糖症状・全身状態・合併症や併存疾患・生活環境・日常生活動作 (ADL)・生活の質 (QOL)を加味して、お一人お一人に最適な糖尿病治療をご提案致します。
 糖尿病外来の初診は月~金まで随時受付 (午前診が基本、午後の時間帯はお電話相談可)、糖尿病の急性期治療は勿論、血糖コントロール入院も随時受け付けております。糖尿病教育入院は、血糖コントロール・糖尿病教育・注射手技取得 (必要な場合) と合併症精査・併存疾患検索・癌検査込みで10~13日が基本です (日程・期間は相談可)。専門外来 (インスリンポンプ外来、妊娠糖尿病外来、フットケア外来)は完全予約制です。

 当科ではインスリン製剤・GLP-1受容体作動薬などの注射製剤は、「外来導入」が標準です。当科の「糖尿病チーム医療」を支える医師(糖尿病専門医)、看護師、薬剤師、管理栄養士、検査技師 (糖尿病療養指導士の資格取得者8名在籍)で、外来インスリン導入 (Basal-supported Oral Therapy, Basal-Plus, Basal-Bolus療法すべて可能)、GLP-1受容体作動薬導入、血糖測定導入 (SMBG, isCGMいずれも可能)、栄養指導を実施します。熟練のスタッフが指導しますので、注射製剤+血糖測定の指導なら1.5~2時間で、栄養指導を含めても3時間ですべての指導を受けることができます。血糖コントロール不良の糖尿病では、経口血糖降下剤の内服加療から、注射製剤による糖尿病治療へのstep upが必要ですが、仕事、家事、育児や介護を理由に「入院ができない」患者の皆様はたくさんいらっしゃいます。そのような方には、是非、当院の「外来導入」のシステムをご活用頂きたいと思います。(basal-bolus療法, isCGMに関しては 2.最新IT機器を用いた1型糖尿病の緻密な血糖コントロール の項目をご参照ください。isCGMは2型糖尿病患者の皆様でも1日1回以上のインスリン注射を実施していることを条件に保険適応があります)

ただし、次のような患者の皆様は入院しての注射製剤導入・急性期糖尿病治療となります。
・1型糖尿病が疑われる場合
・全身状態不良、発熱、脱水傾向、摂食不良、感染症・他疾患合併、ステロイド投与中の場合
・認知機能低下、精神疾患合併、アルコール (大量飲酒) の関与がある場合
・高齢者 (≧ 70歳)
・その他、インスリン注射や血糖測定の遵守に不安がある場合
 このような患者の皆様は合併症・併存疾患が多く、悪化・急変するリスクも高いため、他科と連携して入院にて集約的治療に当たります。できる限り患者の皆様のご希望には沿いますが、すべての患者の皆様で注射製剤の外来導入が可能でないことは予めご承知おきください。
 糖尿病に関しては、様々なご要望に応じられる知識と技術と経験と人員が当科にはあります。北河内地区の、より良い糖尿病治療のために、今後もスタッフ一同頑張って参ります。

2.最新機器を用いた1型糖尿病の緻密な血糖コントロール
 当科は1型糖尿病の診断、治療に力を入れております。
 まずは当院で活用している血糖測定器, 血糖測定関連機器および血糖解析システムについてご説明します。間歇スキャン式24時間連続血糖測定 (intermittently scanned continuous glucose monitoring, isCGM, FreeStyleリブレ®, Abbot社) が中心となります。FreeStyleリブレ®によるisCGMによって得られた血糖トレンドをAmbulatory Glucose Plofile (AGP)という解析方法で読み解きながら、緻密な血糖コントロールを目指します。現在当院には70名の1型糖尿病患者の皆様が通院中で、ほぼ全員がリブレを使用されております。
 また、当院では2021年5月よりFreeStyle リブレ®から得られた血糖値関連データをクラウドベースで管理するシステム「Libre view」を導入しました。1型糖尿病患者の皆様は上腕にリブレセンサーを装着し、リブレセンサーから得られたセンサーグルコース値を専用の読み取り機であるリブレリーダーで、もしくは個人所有のスマートフォンで読み取ります。リブレリーダーやスマートフォンで読み取った血糖関連データは、クラウドシステム「Libre view」を介して医療機関と共有され、日々の診療に役立てられます。2型糖尿病でも1日1回以上のインスリン注射の実施を条件に保険適応があります。
Libre view (クラウドベースの糖尿病管理システム, Abbot社公式H.P.より引用)
リブレリーダーもしくは個人所有のスマートフォンで読み取った血糖関連データ (センサーグルコース値) は、Libre viewを介して医療機関と共有され、日々の診療に役立てられます。
AGPレポートの一例 (Abbot社公式H.P.より引用)
FreeStyleリブレ®によるisCGMによって得られた血糖トレンドをAmbulatory Glucose Plofile (AGP)という解析方法で読み解きます。
AGPの詳細説明 (糖尿病ネットワーク Diabetes Net. H.P.より引用)
 AGPレポートの詳細な評価 (meanSG値, GMI, %CV, TIR, TBR, TAR)を基に、インスリン注射や内服薬を細かく調整し、患者の皆様お一人お一人に最適な治療をご提供します。低血糖に十分注意しながらもより良い血糖コントロールを追求致します。生活スタイルに応じてインスリン投与量や投与タイミングなどを個別にアドバイスし、緻密な血糖コントロールを目指します。
 また、指先を穿刺して血糖自己測定 (SMBG) をされている患者の皆様には, MEQNETTM SMBG viewerで血糖データを解析します。MEQNETTM SMBG viewerを活用することで、主治医が自己管理ノートに羅列した血糖値を目で追って評価するより、はるかに精密で多くの血糖データが得られます。患者の皆様も自己管理ノートに血糖値を記載する手間がなくなり、「楽になった」とご好評を頂いております。2型糖尿病でも、何らかの注射製剤の実施を条件に保険適応があります。

 さらに、患者の皆様の自己管理を手助けするPersonal Health Record (PHR) もお勧めしています。近年、PHRの進化は目覚ましいものがあります。ご希望があればアプリのダウンロード・設定・登録まで当院検査技師が指導します。ご自身で日々の血圧・体重・血糖値などを入力することで、生活習慣の改善につながります。
 次に当院のインスリン治療についてご説明します。1日4回のインスリン頻回注射療法であるbasal-bolus療法を基本として、basal-bolus療法へのSGLT-2阻害剤の上乗せ、カーボカウント履修、リアルタイムCGM (rtCGM, Dexcom G6®, ガーディアンTMコネクト)導入、スマートインスリンペン導入、ultra-rapid insulin製剤 (ルムジェブ®, フィアスプ®)の使用が可能です。重症低血糖の既往がある患者の皆様のご家族には点鼻グルカゴン製剤の情報提供と処方を致します。また、補正インスリン、責任インスリン、残存インスリン、目標血糖値、インスリン効果値、インスリン/カーボ比を評価し、患者の皆様に丁寧にご説明致します。最適な治療法を選択し、より良い血糖コントロールを目指しながらも低血糖は常に意識します。FreeStyle リブレ®を活用して無症候性低血糖、夜間低血糖も見逃さないよう治療します。
 当院ではインスリンポンプはMedtronic社 (ミニメド™770G®) およびTermo社 (MEDISAFE WITH®)いずれも自施設での導入が可能です。CSII (Continuous Subcutaneous Insulin Infusion)は勿論、SAP (Sensor Augmented Pump) , HCL (Hybrid Closed Loop) 療法までstep upが可能です。インスリンポンプ治療は1型糖尿病患者の皆様にとって、basal-bolus療法と同様に、場合によってはそれ以上に有効な治療法です。インスリンポンプに関しては、毎週水曜日午前に「インスリンポンプ専門外来」を完全予約制で実施しております。インスリンポンプに関しても当科では外来導入が標準です。
1型糖尿病、1日4回ペン型インスリン製剤の頻回注射 (basal-bolus) 療法からインスリンポンプ (CSII+isCGM) 療法に切り替えた際のAGPレポートの1例
1型糖尿病、インスリンポンプ療法 (CSII+isCGM) → (HCL+rtCGM) に切り替えた際のCareLink reportの1例
 ただし、安全にインスリンポンプを外来導入するためには、当科の「インスリンポンプ外来導入のための工程表 (ポンプチェックシート)」に従い通院し、レクチャーやトレーニングを受けていただくことが条件です。具体的には、ポンプ導入前に ① インスリンポンプレクチャー基礎編+実践編の履修 ② デモ機によるポンプ実践トレーニング ③ カーボカウント履修の3つの講義を受けます(それぞれ1時間程度)。その後、外来インスリンポンプ導入 (導入日に2~3時間、導入週は2回通院、翌週1回通院、導入月はCSII+isCGMでポンプ操作を習得) となります。その後は、患者の皆様のご様子を見ながらSAP, HCL療法へとstep upしていきますが、そのペースは患者の皆様のご希望に沿って進めます。必ずしもSAP, HCL療法までstep upしなければいけないわけではありません。ポンプ治療にかかる医療費の説明もしっかり致します。当方は医療的なアドバイスは致しますが、患者の皆様のご希望を最大限に尊重いたします。
 外来でのポンプ導入にご不安な方は入院しての導入が可能ですのでご相談ください。ただし、入院してインスリンポンプを導入し、退院後に生活パターンが変化することで、細かく設定した基礎レートを大幅に変更せざるを得ない患者の皆様もいらっしゃいます。外来でポンプを導入しますと、日常生活を変えることなく精密なインスリン基礎レート設定も最初から正確に調整でき、後々大幅な設定変更が必要とならず、外来ポンプ導入の利点の1つと考えます。
 もう1点、外来インスリンポンプ導入を可能にする条件として、個人所有のスマートフォンでリブレセンサーのセンサーグルコース値を読み取れる、スマートフォンアプリ「FreeStyleリブレ LINK」をご利用されている方に限ります。ポンプ導入して帰宅後の患者の皆様の血糖の推移を、担当医師がリアルタイムで把握するためです。「FreeStyleリブレ LINK」の使用に関しては、当院の検査技師が個別指導で対応します。当科通院中のリブレ使用中の患者の皆様で「FreeStyleリブレ LINK」対応機種のスマートフォンをお持ちの方は、ほぼ全員、このアプリをご利用なさっておられます。初期設定さえ済ませれば、後は何も難しくありません。
 また、インスリンポンプに閉塞トラブルはつきものですが、自力できちんとインスリン充填およびカニューレ交換ができるまで何度でも個人指導を行います。閉塞するには必ず理由があります。その理由を理解し、回避できるようトレーニング致します。そしてポンプ閉塞時の対応に関しては、最重要ポイントですので、当科オリジナルの詳細なトラブルシューティングマニュアルに従い、ご理解いただけるまで徹底的に指導します。患者の皆様 ただし、安全にインスリンポンプを外来導入するためには、当科の「インスリンポンプ外来導入のための工程表 (ポンプチェックシート)」に従い通院し、レクチャーやトレーニングを受けていただくことが条件です。具体的には、ポンプ導入前に ① インスリンポンプレクチャー基礎編+実践編の履修 ② デモ機によるポンプ実践トレーニング ③ カーボカウント履修の3つの講義を受けます(それぞれ1時間程度)。その後、外来インスリンポンプ導入 (導入日に2~3時間、導入週は2回通院、翌週1回通院、導入月はCSII+isCGMでポンプ操作を習得) となります。その後は、患者の皆様のご様子を見ながらSAP, HCL療法へとstep upしていきますが、そのペースは患者の皆様のご希望に沿って進めます。必ずしもSAP, HCL療法までstep upしなければいけないわけではありません。ポンプ治療にかかる医療費の説明もしっかり致します。当方は医療的なアドバイスは致しますが、患者の皆様のご希望を最大限に尊重いたします。
 外来でのポンプ導入にご不安な方は入院しての導入が可能ですのでご相談ください。ただし、入院してインスリンポンプを導入し、退院後に生活パターンが変化することで、細かく設定した基礎レートを大幅に変更せざるを得ない患者の皆様もいらっしゃいます。外来でポンプを導入しますと、日常生活を変えることなく精密なインスリン基礎レート設定も最初から正確に調整でき、後々大幅な設定変更が必要とならず、外来ポンプ導入の利点の1つと考えます。
 もう1点、外来インスリンポンプ導入を可能にする条件として、個人所有のスマートフォンでリブレセンサーのセンサーグルコース値を読み取れる、スマートフォンアプリ「FreeStyleリブレ LINK」をご利用されている方に限ります。ポンプ導入して帰宅後の患者の皆様の血糖の推移を、担当医師がリアルタイムで把握するためです。「FreeStyleリブレ LINK」の使用に関しては、当院の検査技師が個別指導で対応します。当科通院中のリブレ使用中の患者の皆様で「FreeStyleリブレ LINK」対応機種のスマートフォンをお持ちの方は、ほぼ全員、このアプリをご利用なさっておられます。初期設定さえ済ませれば、後は何も難しくありません。
 また、インスリンポンプに閉塞トラブルはつきものですが、自力できちんとインスリン充填およびカニューレ交換ができるまで何度でも個人指導を行います。閉塞するには必ず理由があります。その理由を理解し、回避できるようトレーニング致します。そしてポンプ閉塞時の対応に関しては、最重要ポイントですので、当科オリジナルの詳細なトラブルシューティングマニュアルに従い、ご理解いただけるまで徹底的に指導します。
 このように、導入前の入念なポンプトレーニング・ポンプ導入チェックシートに従って患者の皆様のペースに沿って指導・万全のトラブルシューティング対策、そして糖尿病チーム医療を整えての外来インスリンポンプ導入です。インスリンポンプの進化は日進月歩です。Basal-bolus療法からインスリンポンプ治療に切り替えて、血糖コントロールが劇的に改善し、長年苦しんだ低血糖から解放された患者の皆様を数多く見て参りました。若年の1型糖尿病の患者の皆様、中~壮年のbasal-bolus療法では血糖コントロール不良の1型糖尿病患者の皆様、妊娠出産を視野に入れておられる女性1型糖尿病患者の皆様には、是非、インスリンポンプ療法を選択肢の1つとしてお考え頂きたいと思います。小児期発症の1型糖尿病患者の皆様で、小児科からのトランジションをご検討中の方は、一度当科を見学に来ませんか? 実際の診察場を見て頂いてからトランジションするかどうか決めて下さって構いません。1型糖尿病患者の皆様にとって、人生の決して短くない時間を過ごすことになる病院ですので、ゆっくりご検討下さい。
 1型糖尿病の皆様は、その疾患の希少性故、通院先選びにご苦労なさることがあると思いますが、どうぞ安心してご通院頂きますよう宜しくお願い申し上げます。
3.妊娠糖尿病・糖尿病合併妊娠の厳格な血糖コントトロール
 近年の晩婚化、出産年齢の上昇に伴い妊娠糖糖尿病・糖尿病合併妊娠の患者の皆様は増加傾向です。
 妊娠糖尿病・糖尿病合併妊娠に関しては、当科は2014年4月より積極的に活動しており、地域の医療機関様からも大変多くご紹介をいただいています。2014年に糖尿病・内分泌内科と産婦人科で第1回合同カンファレンスを開催したのを皮切りに、現在も定期的に勉強会を開催し、両科で情報共有をしております。
 2019年11月より、当院産婦人科に通院する妊婦様は、全例、妊娠中期に50gグルコースチャレンジテストを実施し、負荷1時間後の血糖値≧140 mg/dLの妊婦様は、すぐに糖尿病内科を受診して頂くシステムを構築しました(妊娠初期の随時血糖≧100 mg/dLも同様に当科ご紹介となります)。その後、75gブドウ糖負荷テストを経て最終診断となりますが、その結果、妊娠糖尿病・糖尿病合併妊娠は40~50症例/年へと増加しております。
 妊婦特有の大きな血糖変動、ケトーシスに傾きやすい代謝状況、特有の厳格な血糖管理基準とその評価方法、妊婦に使用可能なインスリン製剤の適切な選択とその使い方、スマートインスリンペンの活用、SMBGとisCGMを駆使した厳格な血糖管理、妊娠週数に応じた細かな栄養指導 (月1回の栄養指導を出産直前まで継続)、分割食の指導、周産期の血糖・血圧・体重管理と可能な限り正常耐糖能を目指して厳格に管理し、妊婦様にはその必要性をわかりやすく指導します。そして診察毎に産婦人科の診療記録を確認し、母体と胎児の全体像の把握に努めます。妊娠糖尿病・1, 2型糖尿病合併妊娠の出産も在胎週数35週以上・出生体重2500g以上なら当院で出産可能です。産後の耐糖能評価、授乳期の血糖管理も行います。ご希望の妊婦様には、1週間程度の「妊娠糖尿病教育入院」を実施しております。
isCGMと連動したスマートインスリンペンの活用 (isCGM, ノボペンエコー®プラス), 各製薬会社H.P.より引用
 また、当院は助産制度の指定病院であるため、周産期ハイリスク妊娠(若年妊娠、低収入、低
学歴、未婚、妊娠葛藤、家庭内暴力、被虐待、精神疾患合併、不規則な食事による肥満・痩せ、喫煙・飲酒、不定期通院、飛び込み受診、外国人) に耐糖能異常を合併した妊婦が相当数来院されます。これら複雑な生活環境をもつ妊婦に対しては、糖尿病内科医、産婦人科医、精神科医、保健師、助産師、医療ソーシャルワーカー (MSW)らが「周産期ハイリスク妊婦会議」を定期的に開催し、必要あれば児童相談所とも情報共有して、出産までチーム医療でサポートする体制を取っております。
 挙児希望の糖尿病女性、2型糖尿病合併 (肥満、インスリン抵抗性合併) 不妊症に対するプレコンセプションケア(妊娠前の血糖コントロール)にもしっかり対応します。2022年4月より不妊治療に公的医療保険が適応されるようになり、妊婦の高齢化も相まって対象患者の皆様が増加しております。食事・運動療法を前提とし、適応があればプレコンセプションケアにメトホルミンを考慮します。ただし妊娠が判明したら、全例でインスリン治療に切り替えます。

甲状腺・内分泌疾患

 甲状腺機能異常、自己免疫性甲状腺疾患(バセドウ病や橋本病)の患者の皆様には、必要な検査を選択して診断を確定し、疾患と治療法に関する説明を十分に行ったうえで、適切な治療を行います。近年、甲状腺の結節性病変が見つかる頻度が増加していますが、超音波や CT、必要に応じて各種シンチグラムなど画像診断とエコーガイド下の穿刺吸引細胞診で腫瘍の良性悪性を診断し、治療方針、手術適応を決定します。
 内分泌疾患に関しては下垂体機能不全に対しての負荷試験を行い、ホルモン欠乏の確定診断に努めます。適切な補充療法、原因疾患の治療により QOL 改善を目指します。近年増加傾向にある、免疫チェックポイント阻害剤 (ICI) による免疫関連有害事象 (irAE) (糖尿病・内分泌障害)に関しても随時受け付けます。

診療実績

症例数 令和4年4月~令和5年3月

入院患者数

・糖尿病内科・内分泌内科の入院患者総数  844人 / 年 (約 70人 / 月)
※1, 2型糖尿病、妊娠糖尿病に対する教育入院、血糖コントロール入院、高血糖緊急症(高血糖による脱水、ケトーシス及びケトアシドーシス)、低血糖昏睡、悪性腫瘍、感染症など他疾患を合併した糖尿病、術前血糖コントロール入院など血糖関連の入院、及び一般内科の入院すべてを含む。

外来定期通院患者数(予約診療)

糖尿病・内分泌内科	年間総数 9,833名 / 年、(約820 名 / 月)
・インスリン製剤の自己注射      年間総数 2,457 名 / 年
・週1回GLP-1受容体作動薬の自己注射 年間総数 810名 / 年
・インスリンポンプ治療        年間総数 97名 / 年
・血糖測定 (SMBG)                          年間総数 2,485 名 / 年
・血糖測定 (isCGM)                          年間総数 875 名 / 年

講演会・学会活動、論文発表

令和4年1月~令和4年12月

講演会活動
・IDegLira (ゾルトファイ®配合剤) の臨床的特徴について
  柴崎 早枝子, ノボノルディスクファーマ社 依頼講演会 2022.7.9
  ・ここまでやれる外来インスリン導入 ~当院における糖尿病チーム医療について~
  柴崎 早枝子, Osaka Diabetes Academy 2022.9.17
  ・当院における“糖尿病治療”と“糖尿病チーム医療”
  柴崎 早枝子, 枚方/交野市医師会/住友ファーマ社協賛 依頼講演会 2022.10.1
学会活動
・関節リウマチと自己免疫性甲状腺疾患を合併した1型糖尿病の2例	
 柴崎 早枝子 第65回日本糖尿病学会年次学術集会 2022.5.13
・横紋筋融解症を合併しアシドーシスを伴わずに発症した高齢者劇症1型糖尿病の1例
 諸岡 有沙美, 柴崎 早枝子 第65回日本糖尿病学会年次学術集会 2022.5.14
・尿路感染症を契機に72歳で尿管瘤と診断された2型糖尿病の1例	
 西川 奈歩, 柴崎 早枝子 第237回近畿地方会 2022.9.10
・irAEによるACTH単独欠損症と正常血糖ケトーシスを合併した2型糖尿病の1例	
 野田 知星, 柴崎 早枝子 第59回日本糖尿病近畿地方会 2022.11.5
論文発表
・ 出産3か月後に発症し, 発症直後よりインスリン分泌の急速な低下を認めた急性発症1型糖尿病の1例
 柴崎 早枝子 日本糖尿病学会誌「糖尿病」2022.65(3):90-95.
・ グルカゴン・アルギニン負荷試験で膵内分泌を評価したketosis-prone diabetesの1例
 藤吉 奈々子, 柴崎 早枝子 日本糖尿病学会誌「糖尿病」2022.65(6):319-326.

地域医療機関の先生方へ

2023年4月1日より、新たに「糖尿病・内分泌内科」として常勤医5名、非常勤医2名の体制で診療に当たっております。
常勤スタッフの年齢は20~40歳代と若く、皆伸び盛りの働き盛りです。
「糖尿病チーム医療」を支えるコメディカルも勉強熱心で心強い限りです。
北河内のより良い糖尿病治療に貢献するため一生懸命頑張ります。
皆様からのご紹介をお待ち申し上げております。

専門外来(予約制)

・糖尿病内科・・・・・・・・・・月~金曜日の午前診(毎日受付)
・内分泌内科・・・・・・・・・・月、水、金曜日の午前診
・インスリンポンプ専門外来・・・・・・・水曜日の午前(完全予約制)
・ 1型糖尿病専門外来、妊娠糖尿病専門外来・・月・火・木曜日の午前診

検査

  • 甲状腺・副甲状腺超音波検査(エコー)
  • 甲状腺穿刺吸引細胞診・・・・・・・木曜日の午後診

指導教室

・個別外来栄養指導・・・・・・・随時実施(InBody による体組成の測定込)
・フットケア外来 ・・・・・・・毎月第1金曜日

外来案内