当院では、身体への負担が少ない低侵襲手術(腹腔鏡手術)に力を注いできましたが、より質の高い医療の実現を目指し、令和4年5月に内視鏡手術支援ロボット「ダヴィンチXi」を導入しました。
ロボット手術とは、手術支援ロボットを使用した手術のことで、当院ではダヴィンチサージカルシステムを導入しました。ダ・ヴィンチは従来の「腹腔鏡手術」を支援する、内視鏡手術支援ロボットです。従来の腹腔鏡手術と手術におけるアプローチ(皮膚に小さな穴をあけて器具を挿入する)は同じですが、ロボット支援手術においては、術者が患部の3D映像を直接見ながら操作を行うため、従来の腹腔鏡手術では難しい角度の視野確保や、ロボット専用の鉗子が人の手以上の可動域(360°)を備えていることから、非常に精緻な手術を行うことができます。
①ペイシェントカートは、患者さんの患部に挿入する3本の鉗子を取り付けるアームと、術野を確保するカメラを取り付けるアームの4本から構成されているロボット本体です。 ②ビジョンカートは、ペイシェントカートから送られる画像をハイビジョン3D画像として作成し、リアルタイムで表示する中枢となる機器です。 ③サージョンコンソールは、術者がレンズを覗いて術野を確認しながら、ペイシェントカートのアームに取り付けた鉗子を操作して手術を行う操作台です。
ダヴィンチは3つの機器から成り立っており、医師(術者)はペイシェントカート(ロボット本体)についている鉗子やカメラをサージョンコンソール(操作台)で遠隔にて手術を行います。手術は医師だけでなく、患者さんの脇に助手の医師や看護師がついて補助を行い、チームで協調しながら行います。
①傷口が小さい(患者さんの皮膚の切開する傷口は5-12mmの幅の小さな穴を数カ所開けるだけのため手術痕もほとんど目立たない)
②術後の疼痛が少なく回復が早い(傷口が小さいため、皮膚や筋肉を切開した痛みは少ない。また、傷口が小さいために術後の回復も早い傾向にあります。)
③術中の出血が少ない。(開腹手術等に比べると、極めて少ない出血量で手術が可能です) ④機能の温存が向上(鉗子の操作性が良く、細密な動きであるため、機能が温存できる可能性に期待ができます。)
当院ではダヴィンチを安全に運用するために、導入前から多職種(医師・看護師・臨床工学技士等)で構成したチームを結成し、勉強会や施設見学を重ねてきました。導入後についても、地域の中核病院として、治療を希望される患者さんの期待に添えるように、日々トレーニング及び教育研修を行っています。
河合 英(かわい まさる)消化器外科主任部長兼医療相談・連携室長 この度、当院では内視鏡手術支援ロボット(ダ・ヴィンチXi)を導入しました。当院では従来より身体に負担の少ない内視鏡(腹腔鏡等)手術に注力しておりますが、ロボット支援下による内視鏡手術では、人間の手以上に複雑で精緻な動きができるため、これまで以上に安全で、身体に負担の少ない手術が可能となります。 ダヴィンチ導入により、当院が提供する医療の質の更なる向上と、地域の医療機関との連携を強化するものと期待しており、当院が掲げる「心のかよう医療を行い、信頼される病院」に繋がるよう努めてまいります。
現在、ダヴィンチによるロボット手術の保険適用については、平成24年4月に前立腺がん、平成28年11月に腎細胞がん、平成30年4月に縦隔腫瘍、肺がん、食道がん、心臓弁膜症、胃がん、直腸がん、膀胱がん、子宮体がん、子宮筋腫、令和4年4月からは膵臓、肝臓、結腸がん等の手術に対して保険適用となっております。
当院では、各疾患に対して順次対応していく予定です。つきましては、対象症例については各診療科もしくは医療相談・連携室までお問い合わせください。
また費用については、各個人の健康保険制度等の状況によって異なりますので、医事課までお問い合わせください。
医療機関の方(医療相談・連携室) TEL 072-847-2821(代表) FAX 0120-927-154(連携室専用)
患者さん・一般の方(医事課) TEL 072-847-2821(代表)